VELTEX INSIDE COLUMN Vol.8
指揮官が絶賛する貢献度
家族や静岡を愛する
アンガス・ブラントが古巣に立ちはだかる
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家族や静岡を愛する
アンガス・ブラントが古巣に立ちはだかる
体も大きいが、存在感も大きい。チーム一の最長身、208センチのセンターがアンガス・ブラント(35)だ。元オーストラリア代表で、名前の頭文字を取ってチームメートから「AB(エー・ビー)」と呼ばれている男が、205センチのジョン・ハーラー(25)とともにペイントエリアを支配。リーグ戦の約2/3を消化して25勝16敗で西地区3位と、プレーオフ圏内をキープする大きな要因となっている。
「チームは、ここまでよくやれているし、現状には満足している。ただ、まだまだ成長の余地はある。成長の余地があるということは終盤に向けて、もっといい方向にいく可能性があるということだ」
今季はここまで40試合に出場。昨年11月16日の福岡戦での脳しんとうの影響から、翌日の第2戦でベンチを外れただけ。主に、ベンチスタートから1試合平均20分41秒プレーし、9・0得点、リバウンドが6・0本と先発並みの数字を残すだけでなく、ポジショニングやポスト役など目立たない部分でチームを支えている。森高大ヘッドコーチ(35)は「ABの貢献は計り知れない」と絶賛。「ディフェンスのチーム」を標ぼうするベルテックス静岡には、欠かせないピースとなっている。
「体の状態は、すごくいいよ。練習前のストレッチや、練習後のケアも必ず受けているし、若いころと同じようなコンディションを保っている」
PF加納誠也主将(35)と並ぶチーム最年長のベテランだ。2020年シーズンに滋賀レイクスターズへ加入して今季でBリーグ5年目を迎える。日本以外ではイタリア、リトアニアなど5か国でプレーしてきた。色々なリーグを渡り歩いてきた経験は大きい。
「日本に来て1年目に、この国で長くプレーしたいって思ったよ。住みやすいし、治安もいいし、公共交通機関の移動も便利だし。なんと言っても人がやさしい。すぐ好きになったね」
ベルテックス静岡に移籍して8か月余り。静岡の印象を聞くと、「寒すぎないし、どこからでも富士山が見えるのがいいね」と、ウインク。「近くに山も、海もある。東京にも近い」。シドニーから車で1時間半ほどの自然が多い街で生まれたというブラントは「実家にすごい近い感じ」という静岡は、お気に入りだという。
まもなく、第二子が誕生予定。休日は家族との団らんを優先するマイホームパパは将来、バスケットボール指導者の道は、まったく考えていないという。
「だって、土日に試合があると、週末、家族と一緒にいられないだろ。プロスポーツを仕事にすると、どうしても自己犠牲しなければいけないことが多い。シーズン中には、なかなか友人の結婚式には出席できないしね。だから、現役を引退したら、普通の生活を送りたいのさ。平日9時~17時の仕事をして、土日は休んで家族と過ごしたい」
ちゃめっ気たっぷりに笑ったAB。今節(2月22、23日)は昨年所属した古巣の信州とホームで対戦だ。家族第一主義の長身センターが、コートでは献身的なプレーで、「ベルテックスファミリー」を救う。(スポーツ報知記者・塩沢 武士)
ベルテックス静岡では、ホームゲームをよりお楽しみいただけるよう、クラブ創設よりつぶさにご取材いただいているスポーツ報知様にご協力をいただき、今後のホームゲーム各節の前にピックアップした選手の現在地や横顔に迫ったコラムを寄稿いただくことになりました。