VELTEX INSIDE COLUMN Vol.14
シーズン佳境に存在感を示す主将・加納誠也
富山とのプレーオフへ
「自分たちのディフェンスができればチャンスはある」

富山とのプレーオフへ
「自分たちのディフェンスができればチャンスはある」
2年連続のB2プレーオフ(PO)を前にして、ベルテックス静岡のPF加納誠也主将(36)が静かに闘志を燃やしている。チームの精神的支柱らしく、細かい心配りは欠かさない。POウィーク初日となった4月28日の練習前には、じっと仲間の動きと表情を観察した。
加納「意識的に選手たちの様子を見ていたけど、みんないい表情していた。本番直前で緊張したり、入れ込んだりすることなく、いつもと同じような感じだったのですごく安心した」
レギュラーシーズン最終戦で存在感を示す活躍を見せた。4月20日の奈良戦(北里アリーナ富士)に今季60試合目で初先発。開始早々、チーム初得点となる3点シュートを決めて、ブースターから大歓声を浴びた。今季最長の15分35秒プレーし、3P計3発で9得点をマーク。ここまで出番が少なかった鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような働きぶりだった。
「しっかり準備してきたので自信を持って臨んだ。リーグの最終戦を勝ちで終わるか、負けるかは大きな違いだったと思う」
チームの空気を変える1勝となった。3連敗中のチームに漂っていた暗いムードを一変させたのが頼れる主将だった。2024ー25のレギュラーシーズンを白星で締めて、次なるステージに向けていい流れを作った。
「新装された北里アリーナ富士の試合で勝てて良かった。僕がスタメンだったので、チームメートも『勝たせたい』という思いがあったんじゃないかな」
いよいよ、5月3日からPOが開幕する。準々決勝の相手は今季4戦全敗している富山。昨季までB1に所属した難敵だ。
「何度もPOは経験しているけど、レギュラーシーズンとは別物。リーグの結果はまったく関係ない。まずは、チームが同じ方向を向いていることが大事になる。選手のメンタルを本番までに整えるのも僕の役目だと思う」
今回の対戦は「矛盾対決」だ。B2の14チーム中、1試合平均88・4点とリーグ2位の攻撃力を誇る富山と、平均失点でリーグ3位の75・5点と守備力を誇るベルテックスとの戦いに注目が集まる。
「シュートは入る、入らないがあるけど、守備には波が少ない。うちは、高いディフェンスの強度を掲げて1年間やってきた。自分たちのディフェンスができれば、チャンスはある」
昨季はB2昇格1年目でPO進出が目標だった。今季はB1ライセンスが交付され、富山を下し、準決勝を勝ち上がれば、来季のB1昇格が決まる。
「ライセンスを持って臨めるのは、運営スタッフや自治体のおかげで本当に感謝している。B1ライセンスの申請を見送った昨年と比べて、やっぱりモチベーションが違う。今季のチームが掲げたB1昇格の目標に向かって、チャレンジャーの気持ちでぶつかっていきたい」
4月9日に36歳となったベテラン主将が、最後の最後まで背中でチームを引っ張る。 (スポーツ報知記者・塩沢 武士)
ベルテックス静岡では、ホームゲームをよりお楽しみいただけるよう、クラブ創設よりつぶさにご取材いただいているスポーツ報知様にご協力をいただき、今後のホームゲーム各節の前にピックアップした選手の現在地や横顔に迫ったコラムを寄稿いただくことになりました。